ナガサワ(NAGASAWA)-名車の証
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1970年、長澤はアマチュア自転車競技連盟の強化選手、岩崎誠一、岡島仲平に随行して渡欧、当時イタリアナショナルチームのメカニックだったポリアギの下で働けることになった。
不法滞在が見つかったが、そのままイタリアに住み、日本から後に妻となる美代子を呼び寄せる。
長女の美香はイタリアで牛まれた長澤は1年ほどでデローザに転職し、当時で月に50台もの完成車を作り上げていた。
ラグの下準備から完成車を木箱へ納めるまで、ほとんどの作業をこなしたが、火は最後まで持たせてもらえなかったそうだ。
だが、1本だけ長洋が作ったデローザがあるという。ある日、日本へ送らなければならなかった1本のフレームを、ウーゴ(・デ・ローザ)の奥さんがうっかりお客に売ってしまったのだ。
「そのとき、初めて1台作ったんだこ俺はシートピンのところに補強を入れ忘れたから、フレームを見たらすぐわかるよ」
デローザで働いていた5年ほどの間に、長澤は「このフレームの大きさならこのサドルの高さ、ハンドルポストの長さ、部品の選択や取り付け位置などのセッティングが『いいカタチだね』というセンスをデローザで学んだ」と言い切る。
帰国した長澤はナガサワレーシングサイクルを立ち上げる一方、日本ナショナルチームのメカニックとして世界選手権などへの帯同を開始した。
「中野(浩一)は当時、46× 13Tだからね(倍数でいえば3 ・53)。軽いギヤで自分の回転を生かした競走をしていた。今、4倍なんて大ギヤをかけている競輪選手がいるでしょ?大ギヤをかけることで、選手の脚が国際競技で対応しきれなくなりつつあるのが現実なんじゃないの?それに、以前は世界で活躍している選手は競輪界でもトップだった。中野が世界選で1位になったとき、『世界でナンバ1なんだから、日本でもナンバ1なんだよ、それだけは頭にたたき込んでおけ』って言ったんだ」。
中野は世界選に初めて勝った77年から、本業の競輪でも5年連続の賞金王に輝いた。
ビストフレームでも数多く出まわるカーボンモノコックにも長澤の意見は厳しい。
「日本の競輪にかかわっているフレーム業者が、世界のビスト愛好者を保持しているんだ。世界的なレベルで考えていくと、今、ビストフレームをパイプで作れるところは世界中に日本しかない。みんなモノコックになっちゃっている。モノコックは安くないよ。パイプフレームで練習できるからビスト競技の人口が増えたんだ。モノコックばかりになったら、ビスト競技の世界は廃れる一方で、モノコックにたどり着くのは頂点の人だけ。韓国の高校生の大会なんて、パイプフレームじゃないと走れない。ジュニアの時期から育てようと思ったら、パイプフレームがないと親は金を出せないさ」。
その中野が愛用したナガサワのフレームは、今も競輪選手たちに絶大な人気を誇っている。
「技術力を見るなら、新しいフレームを作るのを見るより、修理を見たほうがいいんじゃねえの?」
と言う長澤は、ちょうどさる著名人のフレームを修理している最中だった。
落車して大きくゆがんだトップチューブとダウンチューブ。しかし、これを修理できるのがスチールフレームの大きな長所だ。
具体的には、わずかなゆがみなら引っ張って直すこともあるが、ラグドフレームなら、ゆがんだパイプを交換することができる。もちろん、長澤もこれまで作ったすべてのフレームの記録を残してある。
フレームに刻印された「1903」は、2019年3月に作られたフレームだ。そしてプロ選手は、それぞれに振られたナンバーに従って整理されている。
いずれも、それらの資料をもとにフレームスケルトン、そして使用パイプを知ることができる。ゆがんだトップチューブとダウンチューブは切断され、ヘッド側はローを溶かしてヘッドチューブとラグを分離させる。
そして新しいチューブとともに冶具に載せ、前三角から作り直すのだ。
新しいフレームを作ったほうが早いと思えるくらいの工程だが、「ナガサワを大切にしてくれる人のために」、と長澤はていねいに作業を進める。修理の際、パイプの内側に補強を入れる場合もある。ダウンチューブのヘッド寄り下側に補強板を銀ローで付けてから、前三角を作り直すのだ。これもかなりの手間だが、修理代金は「新品のフレームより高くは取れねえ」と長澤は言うのだ。
ナガサワのシートチューブは、0 ・9〜0 ・65mmでカスタムメイドされるシングルバテッド管を基本としているが、その理由を長澤は、「肉厚0 ・6mmだと、27・2mmのシートポストを入れるとシートラグのところだけ締まって、その下は片肉0
・1mm空くから、動く。雨の日に競走があったら、サドルが動いて水が浸みて、シートポストからハンガーのほうへ水が流れちやう。競走が終わったら車輪を外して、リヤエンドを下にして自転車を立てる。するとハンガーにたまった水がチェーンステー側に流れてくる。昔はよくこのチェーンステーのパイプがサビて穴が開いたものだった。0
・65mmのチューブは、いろんな問題があったからこそ、そこにたどり着いたんだ。奥が深いね。トラブルがないと進歩はないのよ。失敗は成功の元って、昔の人はいいこと言ったね」。もう大変、と言いながら、長澤はフレームを進化させ続ける。「ウチのフレームは、だからなかなかぶっ壊れないよ」と長澤はニヤリ笑った。「自転車競技もフレーム作りも、基本は遊び心なんだ」と長澤は言う。
「フレームを作っている最中でも、気がついたらその場でストップして、冶具を作り始めるからね。それに、溶接も最近、うまくなったよ。この1年くらいの間に。老眼だし、手根管症候群にかかったときはバーナーを5分持ったら手がしびれちゃうし、バルブのコントロールができなかった。だから、手早く溶接できる方法を考えて加熱の順序を変えたんだ」。
片手ずつ、両手を手術したという長澤は、楽しそうに話し続けた
===【往年の傑作モデル 詳細解説】====
このブランドは、上記以外も魅力的なモデルを沢山製造しています。カタログでは分からない実際に購入したユーザのクチコミ評判やインプレ、生の声は以下をご覧ください。
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